最適化は、とても重要な技術だ。

日本が世界に冠たる技術大国として、君臨できているのも、ひとえに最適化をとことん追求し続けてきた結果である。

最適化とは、最もバランスの取れた、言わば最良の形態、最高の値を打ち出す状態を指す。

この匠の技のように繰り返し繰り返し、調整し、練り上げた高品質状態が、製品化し、大量に世界中へと安価に出回ることで、日本製品が世界を席巻したのである。

この日本のお家芸とも言える最適化技術は、今後も日本が独走状態にある技術とはならないだろう。

それは、AI(人工知能)の登場によって、打破されるからだ。人工知能は、単に人間と言葉巧みに対話ができるという単純な代物ではない。

中国では、AIの自動学習能力を最大限に伸ばして、植物が最も生産量を増やす快適な環境を作り出し、毎年のようにその収穫高を向上させてきた実績を示した。

最適化問題は、繰り返し学習をすばやく大量に行えるコンピュータが得意とする。医薬品の新薬開発にも、何千万通りという組み合わせ試験薬を人工知能によって、シミュレートすることで短期間にかつ、高精度で探し出そうとしている。

最適化は根気のいる作業であったのが、いまはプログラミングを組めば、あとは無限に繰り返す試験ルーチンをコンピュータが自動でやってくれる。

こうして、しらみ潰しにすべてのパターンを組み合わせて、結果を求める方法をコンピュータが昼夜を問わず、何週間も、何ヶ月も繰り返し休まず行うことで、人間の手では到底真似のできない短期間で、実績を上げることができるようになる。

このことは、日本人の独断場であった最適化による高品質商品の独占がいよいよ阻止されることを意味する。

世界中の研究者が、知恵と要領の良いプログラミングを組むことで、システム化を成功させれば、あっという間に日本が生み出してきた最適化した商品を誰でも出せるようになる。