米中貿易摩擦によって、ファーウェイのAndroid OSの使用禁止が取り沙汰されている。
中国の新興企業に対する手厳しさに驚愕する関係者も多いことだろう。
しかし、このアメリカの中国突き放しの波状攻撃は、中国を一つの独立した勢力の巨頭として見る動きにほかならない。
手厳しい技術枠からの排斥運動を取るアメリカに対して、中国は危機的状況に追い込まれるという見方は、一方的な見方でしか無い。
この危機的状況を一つのチャンスと捉えるべきだろう。
アメリカの不純とも思える行動には、もう一つの見方が存在する。
それは、中国はもはや独自であらゆるものを構築できる力を保有した。
いままでのように他人の褌で相撲を取り続けるな!という強い激励のメッセージをアメリカが出したと見るべきだ。
確かに他人がこしらえた椅子に腰を下ろして、経済競争をするのは、楽で良いだろう。
しかし、それは安易で稚拙な考えである。
途上国であればこそ、先進国に対して甘えが通じたであろう。
しかし、中国はもはや成長した大人の経済大国である。
それも単なる経済大国ではない。
アメリカと比肩する超経済大国である。
ある意味で世界を二分して、アメリカと競合しつつ、世界を牽引する独創的な超大国でなければならない。
そのためには、安全保障上もっとも根幹を成す、スマホのOSをアメリカがこしらえたものをそのまま使い続けるなということだ。
すでにファーウェイは、独自のCPUをスマホに使用している。この高度な技術力の裏打ちは、OSさえも自前のものを使っても
良いという段階である。
アメリカは残念ながら、アジアをパワフルに席巻し得るだけの力はない。
むしろ、中国がアジアを一つの勢力圏として、パワフルに開発を牽引する存在と成るべきだ。
アメリカが世界一であることはこれから先も変わらないだろう。
しかし、アメリカだけで世界を牽引するのは、もはや不可能である。
むしろ、アンバランスな一極勢力図にある方が、悪い環境である。
アメリカは中国を自身のライバルとして、より強大になってもらいたいと思っているのである。
ファーウェイ、独自OS開発 ― 現時点までに分かっていること
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190523-00010000-binsider-sci
単純な話で言えば、AndroidとiOSの2巨頭によるスマホOSの環境を好ましいとは言えないということだ。
特に欧米圏ではそれでもよいだろう。
しかし、世界中を見回して、アメリカが開発したOSだけで世界が回るというのは、実に恐ろしいことだ。
安全保障上、より多様性による安全要素を強固にしようとするならば、せめて、アジア圏はもう一つのOSで回っているという
方が、何かと良い。
経済摩擦によって、弾き飛ばすというのは、穏やかではないが、中国がスマホのOSに限ったとしても、中国が開発したOSを
使うようにすることは、大きな意義がある。動機づけとしては、経済摩擦による影響で仕方なくという流れではあるが、
本音で言えば、理由がどうであれ、望ましい環境は、指折り数えるくらいしかない基本OSは、アメリカ一国だけで開発したもので
是とすべきではないということから、複数のOSが市場の何割かずつを占めるというのが好ましい。
アメリカが世界の警察として君臨し続けるのは、限界に来ている。
中国がアジアを中心に世界の警察の片棒を担ぐというのであれば、アメリカとしては喜ぶべきことだろう。
今後は、量子コンピュータなどより高度な計算力を持ったコンピュータが登場する。
防衛体制が盤石とは言い難いOS面において、AndroidやiOSと並ぶアジア発の基本OSが登場することは、堅牢な世界構造を築き上げる上で、重要な要素だ。